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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

Can/Could/May

Can I~? vs Could I ~? 

Can I よりも Could I~?のほうが丁寧な表現だ、ということは皆さん知っているでしょう。でもそれはなぜ? 別に理屈など知らなくてもいいのですが、基本的なことを知っていれば、ほかにも似たようなことが出てきたときに類推できるので、余裕のある人はその理由まで考えてみましょう。

couldはcanの「過去形」ですが、そこには実は「仮定」の気持ちが入ってきます。

ところで、英語の動詞には現在形と過去形しかありません(別のところで改めて説明しますが、「動詞の未来形」というものはないのです)。あとはすべて「組み合わせ」によって複雑な時制も表せます。

そこのところ、英語は実は有り難い! 私がいま勉強しているポルトガル語などラテン語系の原語は、直説法現在・直説法不完全過去・直説法完全過去・直説法大過去・直説法未来・直説法過去未来、またそれぞれに「接続法」というのも出てきたり、全部で10項目も時制があり、それぞれで動詞の語尾(ときには語幹も)が違ってしまいます。おまけにそれが人称によってまた形が変わる。1つの動詞に対し数十の活用を覚えなければならず、その活用の表を載せるのにまるまる1ページ必要です。その上、英語で言う完了形のような複合形もそれはそれであります。気が遠くなります。

さて、話を戻して。英語には、現在形と過去形しかありません。そして現在形は直接的でストレートでひねりがありませんが、過去形は、「現実から一歩引いて」います。そこに、「仮定」の気持ちが表れてくるのです。直接的な事象から少し距離があるということなのです。実を言えば、用法によっては過去形が必ずしも過去を表していないこともあり(*1)、もしかすると現在形・過去形という呼び方すら本当は正確ではないかもしれません。「直接形」と「一歩退き形」とでも??

(*1  It's about time you got married. そろそろ結婚したらどうなの  It's about[high] time (that)~「そろそろ~する時だ」のあとの節には普通過去形の動詞を使う)


ともあれ、canの代わりにcould を使うと「もしもできたなら~」のような気持ちが入ってきます。いきなり自分の希望を述べるのではなく、相手の意向を確かめているのです。「相手を尊重する」これが「丁寧」の源です。


Can I~? vs May I ~?


Can I よりMay I が丁寧だというのも上のことと根っこは同じです。canが客観的な能力や状況でものごとをすることが「可能」であるのに対し、mayは個人的に「許可する」ということです。

Can I smoke here?
と言えば、客観的にここでたばこを吸うことは可能であるか(たとえば禁煙セクションではないかとか)というニュアンスの質問ですが、
May I smoke here?
の場合は、状況が許すか許さないかよりも、話している相手がそれを許すか許さないか、という尋ね方です。当然、相手の意志をより尊重しています。

英語にも「敬語」…というより、丁寧表現というのは(他にも)ありますが、日本語のように「だ・である」vs「ですます」のような形の区別はあまりありません。同僚とおしゃべりしている会話と、上司としゃべっている会話を形だけ比べても、あまり変わらないことが多いでしょう。ですが、実質的に「相手の意志を尊重する」形をとることで、相手への敬意を表すのです。
そもそも、一番単純(?)な丁寧語"please"にしても、そもそもは「人を喜ばせる、人の意にかなう」という動詞で、「どうぞ~してください」という意味で文にpleaseをつけるのは、「may it please you」(それがあなたを
喜ばせますように=御意にかないますように)という文に由来しているそうです。

どういう「関係性」でCanとCouldを使い分けるのか、ということには、ですから、あまり意味がありません。もちろん上司や目上の人、客などに対しては当然「相手の意思を尊重する」べきですから原則的には丁寧なほうを使うとしても、友人同士であっても、ときにはCould I~を使います。相手にとって負担になるようなお願い事をするような場合は、当然のごとくにお願いするよりも、ちょっと相手の意向を尊重する方が礼節に叶っています。

ただし、「現実から一歩退くことで仮定の意味を表している」=「距離が生まれる」という要素もあるので、それほどでもないときに多用すると、それこそ「よそよそしい」感じになってしまいます。

夫婦喧嘩などしたときは、案外これが皮肉に使われます。日本語でも同じですよね。
いつも「遅くなるときは電話してよね!」などと言っている奥さんが
「遅くおなりになるときは、どうか、電話して下さいません、か!」
なんて言ったら…。決して、急に貞淑になったわけではないでしょう。オオコワ!ですよね。

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